2025年04月27日
KSC CO2 バルブの構造とガス漏れ修理
KSC製 M9 CO2のマガジンに関してバルブからまたガス漏れが発生したため今後のためにもバルブの構造及び修理についての残しておこうと思いこの記事を作成しました。
ちなみに約12年ぶりの記事ですw
※この記事にはメーカーが意図しない分解をしているので参考にされる方は自己責任でお願いします。
修理受けられなくなっても知りません

KSCのCO2シリーズですが後発メーカーながらバルブの構造が他社とは異なり、
適当に扱うとすぐにガス漏れが発生してしまうのが残念な所です。
構造的にはマルゼンやWA初期のマグナあたりがが近いかと
なお銃本体はスライドがぶっ壊れるような勢いのあるブローバックではないもののHFC134aやHFC152aといったフロンガスを使用した従来機種と比べて圧倒的な作動性、弾道安定性、仕上げの良さ、ほとんどのパーツが従来機種と共通といった感じで非常に良い!です。
まずはガス漏れの症状ですが、CO2カートリッジを入れてプッシュナットを締めるとシューーーッと
少量ですがノズルラバー(ガス放出口)から漏れています。
一度この状態になると中のパッキンがダメになっているのでバルブを締め込もうが
シリコンオイルを塗布しようが温めてパッキンの弾力を回復させようが
漏れを完全に止めることはできません。
最初は修理に出そうかと思いましたが発送が手間なのと正常なスペアマガジンも持っているし
1個なら壊しても大丈夫かな?
との思いで自己責任で分解し中の構造を確認しつつ修理してみることにしました。
修理に関してはネットで調べても情報は出てこなかったので自己流です。
といってもパッキン交換するだけですけどね・・・
【バルブの分解】
バルブレンチで外します。
分解防止形状になっていたり、嵌め殺しのピンがあるわけではなく普通に外せます。

取り外したバルブの写真
先端に1つのOリングと本体に2つのOリングが付いてます。
先端のOリングはバルブに付いていると言うよりマガジン側に入っている感じです。



ここからはバルブ本体を分解していきます。
まずはバルブヘッド?を外します。

外す方法ですが写真のようにニッパーの刃がバルブヘッドと本体の隙間に入るようにセットし、この状態でニッパーを閉じていくと簡単に外すことが出来ます。
マイナスドライバを入れるとか掴んで引っ張るとかいろいろあると思いますがこの方法が一番簡単で傷つかないと思ってます。
簡単とはいえ力加減は必要。
弱いと外れないし、強すぎると勢いで中のバネを傷つける恐れがありますし、ヘッドがどっか飛んでいって紛失するかもしれません。
うまいことギューーーッとゆっくり力を入れていくとポロッと外れます。
※ニッパーは樹脂用の安いやつで刃がダメになっても構わないものを使用してます。
ケガしないようにしてください。部品が飛んでいかないように刃の付近を指で押さえたりしてると勢い余って指に刃が刺さるなんてことも起こりえます。

中にバネ入ってます。
ヘッドを外せばあとはシャフトを引き抜くだけです。

シャフトを外した写真
シャフトにはOリングが3つ付いてます。

ピンとずれてますが、拡大した写真
構造は後で説明しますが3つのOリングの内、右上2つが気密に大きく関わってます。

シャフト外した後のバルブ内面
【バルブの構造とガス漏れの原因】
修理の前にバルブの構造とガス漏れの原因について説明しておこうかと思います。

分解したときに採寸したデータを元に3Dモデルを作成したので、そのモデルを用いて説明します。

バルブ閉の状態
青線がマガジンの隔壁だと思ってください
バルブが閉じてるときは流入側の穴から入ってくる高圧のCO2をシャフト先端のOリングで気密しているので流出側の穴までは流れないようになっています。

圧力がかかった際はOリングが外側に広がろうとする力が働くことで気密を保っています。

バルブ開の状態
インパクトハンマーによりシャフトが左に押されると開状態となります。
気密していたOリングが流入側の穴を通り過ぎることで流出側の穴と繋がり流路が出来ることで高圧のCO2が外に放出されます。

この図はバルブ動作途中の状態ですが、ここでバルブの構造上問題が・・・
流入側の穴をOリングが通過する際、穴のエッジ部分でOリングが削れるのです。

Oリングが削れるとどうなるか?
高圧により外側に広がろうとするものの一部削れたことにより隙間が出来てしまいそこからガスが漏れていきます。
ちょっと削れたぐらいではゴムの弾性で気密は確保できるので漏れは発生しないですが、ある一定以上削れると無理です。
こうなるとメンテでオイル差しても直ることはないです。

実際に削れてガス漏れが起こっているOリングの写真
左から順に 新品→若干漏れ→超漏れ 状態のOリングとなります
一番右のものは上下左右の4か所が見事に削れています。見にくいかな?
この4か所はバルブの流入口の位置と一致してます。
【修理】

3つのうち中央のOリングが削れてダメになります。
なのでOリング削れが原因のガス漏れはこのOリングを交換すれば直ります。
安全ピンとか針状のものを溝に突っ込んでOリングを伸ばしながら外します。
OリングのサイズはSS規格で外径4mm内径2mm線径1mm材質はNBRかと思います。
Oリング SS 020 1Aで検索すればいろいろ出てきます。

交換は中央のOリングだけですが、他も外してシャフト外径をコンパウンドで磨いておきます。


バルブ本体もコンパウンドを付けた綿棒で磨いておきます。

組み立てはシャフトにOリングを組み付けた後、本体に戻してバネとバルブヘッドを付ければOK
Oリングやバルブ内面にはシリコンオイルの塗布を忘れずに行って下さい。
バルブヘッドはシャフトに圧入ですがハンマーでたたき込んで・・・ではなく写真のようなクランプで圧入します。
クランプ本来の使い方ではないですが圧入できるだけの力があるのとクランプ部分が樹脂製でバルブに傷をつけることがないので便利です。
ホームセンタで数百円で売ってます。
あとはバルブ本体についていたOリングを組み戻し、上から5枚目の写真ようにマガジン奥にOリングを入れてからバルブレンチでバルブをねじ込めば修理完了です。ちゃんとできてればCO2ボンベ入れてもガス漏れは直ってるはずです。
私自身この方法で3回修理しましたが、今のところ100%直ってます。
【メンテナンスやその他注意点】
日頃のメンテナンスはシリコンオイルを取説通りに塗布するだけですがポイントとしては塗布した後バルブをフルストローク押すのはやめたほうが良いです。というのも上のほうで説明したように流入側の穴をOリングが通過する際、穴のエッジ部分でOリングが削れるのでガス漏れの原因を作ることになります。
塗布した後、押す量は1~2mmほどにしてシリコンオイルなじませるのが良いです。
その他注意点としては寒い時期でも動作するのがCO2の利点なんですが、あまりにも寒すぎるとOリングが縮んで硬化してしまうので
CO2ボンベ入れた瞬間一気にガスが放出されます。一応15~20℃ほどに温めると直りました。
バルブ一つでここまでの記事を書いている人はなかなか居ないと思いますが・・・ というか見たことない・・・
以上で、KSC CO2 バルブの構造とガス漏れ修理の記事は終了です。
ちなみに約12年ぶりの記事ですw
※この記事にはメーカーが意図しない分解をしているので参考にされる方は自己責任でお願いします。
修理受けられなくなっても知りません

KSCのCO2シリーズですが後発メーカーながらバルブの構造が他社とは異なり、
適当に扱うとすぐにガス漏れが発生してしまうのが残念な所です。
構造的にはマルゼンやWA初期のマグナあたりがが近いかと
なお銃本体はスライドがぶっ壊れるような勢いのあるブローバックではないもののHFC134aやHFC152aといったフロンガスを使用した従来機種と比べて圧倒的な作動性、弾道安定性、仕上げの良さ、ほとんどのパーツが従来機種と共通といった感じで非常に良い!です。
まずはガス漏れの症状ですが、CO2カートリッジを入れてプッシュナットを締めるとシューーーッと
少量ですがノズルラバー(ガス放出口)から漏れています。
一度この状態になると中のパッキンがダメになっているのでバルブを締め込もうが
シリコンオイルを塗布しようが温めてパッキンの弾力を回復させようが
漏れを完全に止めることはできません。
最初は修理に出そうかと思いましたが発送が手間なのと正常なスペアマガジンも持っているし
1個なら壊しても大丈夫かな?
との思いで自己責任で分解し中の構造を確認しつつ修理してみることにしました。
修理に関してはネットで調べても情報は出てこなかったので自己流です。
といってもパッキン交換するだけですけどね・・・
【バルブの分解】
バルブレンチで外します。
分解防止形状になっていたり、嵌め殺しのピンがあるわけではなく普通に外せます。

取り外したバルブの写真
先端に1つのOリングと本体に2つのOリングが付いてます。
先端のOリングはバルブに付いていると言うよりマガジン側に入っている感じです。



ここからはバルブ本体を分解していきます。
まずはバルブヘッド?を外します。

外す方法ですが写真のようにニッパーの刃がバルブヘッドと本体の隙間に入るようにセットし、この状態でニッパーを閉じていくと簡単に外すことが出来ます。
マイナスドライバを入れるとか掴んで引っ張るとかいろいろあると思いますがこの方法が一番簡単で傷つかないと思ってます。
簡単とはいえ力加減は必要。
弱いと外れないし、強すぎると勢いで中のバネを傷つける恐れがありますし、ヘッドがどっか飛んでいって紛失するかもしれません。
うまいことギューーーッとゆっくり力を入れていくとポロッと外れます。
※ニッパーは樹脂用の安いやつで刃がダメになっても構わないものを使用してます。
ケガしないようにしてください。部品が飛んでいかないように刃の付近を指で押さえたりしてると勢い余って指に刃が刺さるなんてことも起こりえます。

中にバネ入ってます。
ヘッドを外せばあとはシャフトを引き抜くだけです。

シャフトを外した写真
シャフトにはOリングが3つ付いてます。

ピンとずれてますが、拡大した写真
構造は後で説明しますが3つのOリングの内、右上2つが気密に大きく関わってます。

シャフト外した後のバルブ内面
【バルブの構造とガス漏れの原因】
修理の前にバルブの構造とガス漏れの原因について説明しておこうかと思います。

分解したときに採寸したデータを元に3Dモデルを作成したので、そのモデルを用いて説明します。

バルブ閉の状態
青線がマガジンの隔壁だと思ってください
バルブが閉じてるときは流入側の穴から入ってくる高圧のCO2をシャフト先端のOリングで気密しているので流出側の穴までは流れないようになっています。

圧力がかかった際はOリングが外側に広がろうとする力が働くことで気密を保っています。

バルブ開の状態
インパクトハンマーによりシャフトが左に押されると開状態となります。
気密していたOリングが流入側の穴を通り過ぎることで流出側の穴と繋がり流路が出来ることで高圧のCO2が外に放出されます。

この図はバルブ動作途中の状態ですが、ここでバルブの構造上問題が・・・
流入側の穴をOリングが通過する際、穴のエッジ部分でOリングが削れるのです。

Oリングが削れるとどうなるか?
高圧により外側に広がろうとするものの一部削れたことにより隙間が出来てしまいそこからガスが漏れていきます。
ちょっと削れたぐらいではゴムの弾性で気密は確保できるので漏れは発生しないですが、ある一定以上削れると無理です。
こうなるとメンテでオイル差しても直ることはないです。

実際に削れてガス漏れが起こっているOリングの写真
左から順に 新品→若干漏れ→超漏れ 状態のOリングとなります
一番右のものは上下左右の4か所が見事に削れています。見にくいかな?
この4か所はバルブの流入口の位置と一致してます。
【修理】

3つのうち中央のOリングが削れてダメになります。
なのでOリング削れが原因のガス漏れはこのOリングを交換すれば直ります。
安全ピンとか針状のものを溝に突っ込んでOリングを伸ばしながら外します。
OリングのサイズはSS規格で外径4mm内径2mm線径1mm材質はNBRかと思います。
Oリング SS 020 1Aで検索すればいろいろ出てきます。

交換は中央のOリングだけですが、他も外してシャフト外径をコンパウンドで磨いておきます。


バルブ本体もコンパウンドを付けた綿棒で磨いておきます。

組み立てはシャフトにOリングを組み付けた後、本体に戻してバネとバルブヘッドを付ければOK
Oリングやバルブ内面にはシリコンオイルの塗布を忘れずに行って下さい。
バルブヘッドはシャフトに圧入ですがハンマーでたたき込んで・・・ではなく写真のようなクランプで圧入します。
クランプ本来の使い方ではないですが圧入できるだけの力があるのとクランプ部分が樹脂製でバルブに傷をつけることがないので便利です。
ホームセンタで数百円で売ってます。
あとはバルブ本体についていたOリングを組み戻し、上から5枚目の写真ようにマガジン奥にOリングを入れてからバルブレンチでバルブをねじ込めば修理完了です。ちゃんとできてればCO2ボンベ入れてもガス漏れは直ってるはずです。
私自身この方法で3回修理しましたが、今のところ100%直ってます。
【メンテナンスやその他注意点】
日頃のメンテナンスはシリコンオイルを取説通りに塗布するだけですがポイントとしては塗布した後バルブをフルストローク押すのはやめたほうが良いです。というのも上のほうで説明したように流入側の穴をOリングが通過する際、穴のエッジ部分でOリングが削れるのでガス漏れの原因を作ることになります。
塗布した後、押す量は1~2mmほどにしてシリコンオイルなじませるのが良いです。
その他注意点としては寒い時期でも動作するのがCO2の利点なんですが、あまりにも寒すぎるとOリングが縮んで硬化してしまうので
CO2ボンベ入れた瞬間一気にガスが放出されます。一応15~20℃ほどに温めると直りました。
バルブ一つでここまでの記事を書いている人はなかなか居ないと思いますが・・・ というか見たことない・・・
以上で、KSC CO2 バルブの構造とガス漏れ修理の記事は終了です。
Posted by ユッコ
at 19:05
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